かつてイオン化粧品も本社を構えた大阪のメインストリート御堂筋が、今年も光の道に生まれ変わっています。3回目を迎えた「御堂筋イルミネーション」は、すでに大阪の冬の名所。イチョウ並木を光の列柱に仕立てた照明デザイナーの長町志穂さんに、誕生ストーリーや見どころを聞きました。

大阪のイメージを外の人に聞くと、「道頓堀のグリコの看板」など、にぎわいと猥雑さを象徴する風景をあげる人が多いかもしれません。「それもいいけれど、水都と呼べる水辺の多さや、昭和初期から建物の高さと軒先を揃えた美しい景観を目指す御堂筋など、多彩な都市である魅力を大阪はもっと伝えていくべき」と照明デザイナーの長町志穂さんは語ります。 大阪生まれの長町さんは、御堂筋イルミネーションのデザインコンペに挑むにあたってあらためて御堂筋を訪れ、歴史ある道としての価値と力強いイチョウの姿に圧倒されました。そこから固まったコンセプトは、「大阪の大都市軸・御堂筋の特徴であるイチョウ、ビル、道路が三位一体となるデザイン」。イルミネーションのエンターテイメント性ばかりが目立つのではなく、都市の骨格になりうる魅力、「大阪に御堂筋あり」と言えるようなデザインを目指すことでした。

並木道のイルミネーションはどこもケヤキが有名で、枝に光を這わせるのが難しいイチョウは、実はイルミネーション向きの樹木ではありませんでした。でもそれで生まれたのが、「幹だけにイルミネーションする」という発想。「それを前提にいろいろな計算をしてみると、樹全体を飾る場合2~3本おきにせざるを得ないイルミネーションをすべての樹に施せる、幹だけの装飾なら枝を傷つけることもない、施工日数も短縮できるなど、コストや様々な面でプラスが多かったのです」。LED電球は、色づくイチョウをイメージしたオリジナル色、「御堂筋イエロー」を作りました。 光の列柱と決まったことで、樹々の間に見えるビルもそれぞれの歴史と個性を表すファザードとしてメイクアップ。イチョウの根元も、植栽を傷めないよう配慮しつつ、子どもたちの目線でも楽しいイルミネーションに仕上げました。

東日本大震災は長町さんにとっても衝撃でした。でも、「みんなが弱ったらダメだから大阪は頑張ろう!」と延長も含めて予定どおり実施へ。ONE FOR ALL ALL FOR ONEのメッセージを出すことも決まりました。 今年最大の見どころは、南久宝3丁目寺交差点から長堀通の延長区間エリアにお目見えした新色。桜色に少し紅を入れて日本情緒ある珊瑚色を表現した「御堂筋コーラル」で、ファッションブランドの多い街区を華やかに演出しました。厳密には、立体的な輝きになるよう1本の樹でもコーラルと桜色の電球が混在しており、近づけば見分けられるとか。ぜひゆっくりと歩いてみてください。 「あかりにはともるだけで力があります。あかりを愛し、楽しんでください」と長町さん。あかりを楽しめるしあわせは生きている証。いま、夜の御堂筋はそんな散歩道としてあなたを迎えます。








