• TITLE:「キャンドルの明かりが繋ぐもの」

    キャンドルアーティスト:Candle JUNE

    READ: 12月です。クリスマスムードが高まるこの時期、 キャンドルの幻想的な明かりに心惹かれる人も多いことでしょう。 ゆらめく炎を見つめているだけで、心がほんわかと温まっていくのを感じます。 そんなキャンドルの「明かり」を、手書きのメッセージと共に 大切な人に送ることができたら素敵だと思いませんか? 実は、あるのです。「メールキャンドル」というその手紙を考案したのは、 キャンドルアーティストのCandle JUNEさん。 JUNEさんはキャンドル製作の傍ら、 日本をはじめ世界各地のテロや戦争が起きた場所や 震災地を廻り、希望の明かりを灯すことを ライフワークのひとつとしています。 そうした活動をする中で生まれたある思いがきっかけで、 この手紙は誕生しました。 そんなCandle JUNEさんに「メールキャンドル」へ込める思い、 そして「明かりを繋ぐこと」についてお話を伺います。

  • Q. 祈りをテーマに、世界各地でキャンドルを灯してきたJUNEさんにとって、忘れられない「明かり」はありますか?

    A. その都度が忘れられない明かりです。 あの時あの場所で灯すことができてあの人たちと出会えたことが、 今日のこの灯火(ともしび)に繋がっている、 今灯している明かりがこれまでの集大成だ、と思っています。

  • Q. 「明かりを繋いでいく」意味とは?

    A. 自分にとって何が平和というのかを考えた時、「幸せだな」って 感じられるかということでした。自分の世界は平和かもしれない。 でも、他の国の人が刻んできた歴史と自分が接点を持ち、その場 所で明かりを灯し、その明かりを現地の人たちと共有できた時、 自分の世界の平和だけでなく、他の誰かの世界も平和になることが 最終的な平和だなと思うようになりました。そうして初めて幸せとい うものを実感できるんだ、と。その時、自分の中でそう思えるまで 明かりを繋いでいきたいという欲望が生まれました。平和へと繋がる 道を、真っすぐ灯していきたいなって。点から点ではなく、接点の明 かりを灯すことで、幸せが繋がっていくようなイメージです。 自然な 形で向かうべき所に向かっているという感覚なんです。「次はそこ に行くしかない」という一本の道が見えていて、それは、今まで出会 ってきた人や場所、歴史が背中を押してくれているような感じがします。

  • Q. 手紙と明かりを送ることができる「メールキャンドル」。 どんな思いを込めて作られたのですか?

    A. テロや戦争が起こった地域はほぼ電気がない、つまり明かり がないわけです。だから以前から、明かりを送れたらいいなとは思 っていました。それが、今年の震災を受けて具体的な形になりま した。思いというものが、言葉や明かりと一緒に届けられないだろ うかというところから「メールキャンドル」は生まれたんです。 もち ろん、キャンドルって純粋に楽しめるという側面も持っているので、 クリスマスや誕生日といったシチュエーションで、大切な人へ思い を伝える時にもぜひ使ってほしいです。最近はメールで簡単に文 章も写真も送れますよね。でも、郵便物が届くのってちょっとワク ワクしたり嬉しかったりしませんか?開いたときに一枚の写真と共 に直筆の手紙が付いているって、単純に嬉しいなって思うんです。

  • Q. 2011年と2012年を繋ぐ「明かり」とは、どんな「明かり」でしょう?

    A. 喜び、希望の明かりです。自分がいつも灯しているのは、悲しみで はなく喜びや希望の明かりです。火を灯すということは悲しみの起こ った当人たちの、気持ちの部分での「許可」が必要で、その許しを得 て灯す明かりは、悲しみの明かりではないと思っています。 テロ、戦争、 津波、何か悲しいことが起こった場所というのは、かつては生活の営 みの明かりがあった場所のはずで。その明かりをその場所にもう一回 取り戻す作業を、現地の人たちと一緒になってやらせてもらいたいと 思っています。 自分だけでなく、外の人たちがそれぞれの明かりを持 ってサポートに行きその場を共有することによって、新たなコミュニ ティが形成されます。それは、地域の活性化にも繋がると思うんです。

    (後記)

    大切な誰かに、祝福や感謝の気持ちを、またいたわりや慰めの気持ちを伝えたいと思うならば、 もしかしたらキャンドル一本の明かりひとつで十分なのかもしれません。 静かな光を放つその明かりは、言葉以上に深く、強い結びつきを与えてくれるような気がします。 2011年も残りわずかです。あなたが今、「思い」を届けたい人は誰ですか?

  • 「仙台と東京を結びつけた明かり」

    仙台の12月の風物詩ともいえる『SENDAI光のページェント』。 26年目を迎える今年、実は少しだけ事情が違いました。 3.11の震災を受け、一時は開催が危ぶまれたのです。 しかし、被災地に希望の光を届けたいという実行委員会の強い思いと、 東京・原宿表参道欅会(※1)からの心ある支援により、 無事に点灯の日を迎えることができました。 そこにはどんな物語があったのでしょう? 『2011 SENDAI光のページェント』実行委員長の 瀬戸敏之さんに語っていただきました。


    震災でLED電球が全失、開催の危機

    「保管中の電球が、すべて津波で流されてしまったんです。瓦礫(がれき) の中から少しは出てきましたが、泥まみれでとても使えるものではありませ んでした。震災直後は中止という意見も出ていましたが、日が経つにつれ 皆の心境も変わってきました。被災地の方に『元気な都市から盛り上げて ください』という声をいただいたり、なんとかして子供たちに笑顔を取り戻し てあげたいと思う気持ちが強くなり、やっぱりやろうよ、と。 東北の冬は寒く 冷たく暗いものです。光のページェントは、そういう場所に明かりを灯すと いう意味で仙台市内の中心街にある定禅寺通にイルミネーションを飾り ます。明かりを眺めながら、一年間のいろんな思いや来年に向けての思い をめぐらせる。そういった、年末にかけてちょっとしたひと呼吸がつけるような コミュニケーションの場を、ぜひ今年も提供したいと思いました。」 市民が 新たな思いで春を迎えるためにも、このイベントをなくしてはいけない。 瀬戸さんたち実行委員会は、被災地の人々に笑顔が生まれることを願い、 今年の開催を決意しました。
    ※1・・・表参道でイルミネーションを開催している商店街振興組合原宿表参道欅(けやき)会

  • 表参道 欅会から6万個の電球が届く イルミネーションをやると発表したものの、資金面や電球消失など問題はたくさんありました。 そんなとき、東京・表参道の欅会さんから、同じけやき並木にイルミネーションを施しているよし みでということで、『6万球提供します』とのお申し出をいただいたのです。本当にありがたかっ たですね。これからどうしようかという不安しかない中で、その不安を打ち消してくれた力強い ひと声でした。よし、やってみようかと思う大きなきっかけになりましたね。 昨年までは、仙台カ ラーといわれるオレンジ系の色合いを持つ仙台オリジナルのLED電球を付けていました。 しかし今回は、各地から届いた気持ちや絆を感じてほしいということもあり、 提供いただいた電球は色が違うのですが、あえてそのまま取り付けることにしています。」
    遠く離れた二つの都市、仙台と東京を結んだのは「明かり」という絆でした。 多くの人々の思いに支えられた2011年の『SENDAI光のページェント』。 けやきに連なる今年のイルミネーションは、いつも以上に強い輝きを放っています。

    『2011 SENDAI光のページェント』 開催期間: 2011年12月2日(金)31日(土) 実施時間: 17時30分~22時(31日のみ23時消灯) 実施区間: 定禅寺通(東二番丁通~市民会館前) 電球数: 仙台カラー36万球+表参道支援6万球+大館支援4万球 合計46万球 HP: http://www.sendaihikape.jp/index.html

  • 仙台の明かりが灯された日、LED電球を提供した表参道でも点灯が開始となりました。 二都市の橋渡しとなったのが、原宿表参道欅会理事長で表参道イルミネーション実行委員長の松井誠一さんです。 松井さんに、今年の開催への思いを伺いました。

    イルミネーションに込められた街の思い

    「1991年から表参道のイルミネーションは始まりました。当時は街路樹のイルミネーションはまだ珍しく、 私たちはひと足先に始められていた仙台へ見に行き、いろいろと勉強させていただいたという経緯があります。 ですから津波でLED電球が全損したというお話を聞いた時、自分たちが協力できることはないか?と考え、 LEDを約6万球お貸しすることにしたのです。今回こういう出来事があったことでお互い励まし合い、 より絆が強くなったという気がします。実は並木の中に3本、仙台カラーの電球を付けた樹木があるんです。 その明かりを見て、仙台との絆を感じていただけたらと思っています。 イルミネーションを見た人の心を明るくしたい、 また、表参道から全国に元氣を発信したいとの思いで準備をしてきました。ここに来た人が同じ明かりを見ることで、 皆で希望を持って新しい年を迎えよう、という気持ちになっていただけたら本当に嬉しいですね。」

    表参道を華やかに彩るシャンパンカラーのイルミネーション。今年は約65万球の電球を使用。

  • 見る人を元氣にし、来年への希望へと繋げたい。その思いは仙台も表参道も同じでした。 この二つの都市のように、全国各地で灯されているすべてのイルミネーションの明かりには、 それぞれの街の思いが込められているのではないでしょうか?そして2012年への希望の明かりとして、 街を照らしているような気がします。

    『Fairies 表参道イルミネーション 2011』 開催期間:2011年12月2日(金)~2012年1月3日(火) 実施時間:日没~21時(※一部変更する場合があります) 実施区間:欅LED点灯エリア/神宮前交差点~神宮前第二歩道橋 低木LED点灯エリア/神宮橋交差点~青山通り 電球数:約65万球 HP: http://www.omotesando-illuminations.com/ 取材・文 鈴木ハルカ 写真   円山正史(円山写真事務所)【SENDAI光のページェント】      H.SUGI【表参道イルミネーション】