• 3月の沖縄でホエールウォッチング!今月のSHIMICOMは美人写真家・古谷千佳子が初めてのホエールウォッチングに挑戦。

    2012年3月特集「鯨に出会う」
  • 前から行きたかったホエールウォッチングが、この時期沖縄で見れると知り、早速出かけました。

  • 地球上で最大の哺乳類である鯨は、私たちと同じく子供を産んで育てます。今の季節の海は暖かくて、赤ちゃんを育てるには ぴったりなんだそうです。

  • 船長が教える方向を見ると、まるで霧吹きを噴いたような跡が。通称ブリーチと呼ばれる鯨の息継です。

  • 「出ますよ」
    次の瞬間、思いもしなかった大きな塊が水面に現れました。
    「ああっ」
    それ以外の言葉を忘れてしましました。
    目の前の鯨は想像と違って何ものにも似ていない重さの塊。
    大きいものだと長さ18m。大型トレーラーのサイズです。

  • 一年に一度、春先の沖縄を訪れる鯨。
    この海で呼吸を習った子供たちにとって、沖縄は故郷の海になるのです。

  • 古谷千佳子さんと行く沖縄ホエールウォッチング

    古谷千佳子さん。職業:カメラマン。 華奢な身体のどこに、荒々しい海んちゅ(漁師さん)や海女さんを 撮影するバイタリティがあるのでしょう。 でも、その印象は一旦船が港を出て走り始めた途端に大きく裏切られることに・・・。

    取材した日の波の高さは2m。 船長の「今日の海は穏やかです」という言葉とは裏腹に港を離れて速度を上げた船は、 波頭にぶつかる度にガツンガツンと大きく揺れて船に不慣れな私を不安にし始めます。 どうか、出港30分前に飲んでおいた船酔い止の薬が効いてくれますように! そんな揺れる船の舳先に颯爽と仁王立ちになって、 まるで映画「タイタニック」の有名シーンさながらに でっかい望遠レンズを海に向ける彼女を見た途端、 「やっぱり、この人は写真家なんだ」と納得させられました。 ホエールウォッチングを終えたばかりの古谷千佳子さんにお話を伺いました。

  • 1 ホエールウォッチングをしてみて

    どんな生き物も、子供って可愛いなと(笑)。今日は背中の背びれしか見えなかったですけど、その下を想像して見ると、親子が寄り添って泳いでいる姿とか想像して涙が出てしまって。長い距離を一緒に泳いできたわけですよね。カメラマンとしては、「わー出て来た!」っていう狩猟の血も騒ぐんですけど、同時に親子の愛情がじわっと伝わってきました。 私もダイバーとして潜っていたときには、鯨の歌がよく聞こえてきました。海の中にいると音は陸の何倍も遠くまで聞こえるので。そういう過去の記憶を思い出しながら今日はホエールウォッチングをしていました。

    2 親子鯨について

    今は、命を産み出すもの、女性というものに興味がるので、鯨=お母さんと子供みたいになっちゃって。群れや家族の在り方というものが、鯨を通して幅広く表現できるんじゃないかなと思います。血縁だけが家族じゃないというか。雄鯨も他人の母子鯨をエスコートするフォロー体制を、大昔から作っているんです。 これからの社会の在り方のヒントが、自然界にはあるんじゃないかなと思っています。
    私は今まで漁師さんを通して、人の暮らしの原点やあり方を撮影してきましたが、その漁師さんは自然を相手にして暮らしを作ってきたわけです。自分も親とかから教わる大事なことも一杯あるんですけど、常識だったり何だったりってコロコロ変わるじゃないですか。迷っている時代だから、あんまり近いところばかり見ていても駄目なのかなって気がします。自分自身もそうなんですけど。

  • 3 写真家になったきっかけについて

    沖縄に興味をもったのは沖縄の海だったんです。15才の時に家族旅行に来て、海が輝いていて、「お母さん、私ここに住むね」と言ったのをはっきり覚えています。大学生になってダイビングを始め、海の仕事をしたくて沖縄に来たんです。沖縄でいろいろな場所に行っているうちに、たまたま漁師の方と出会って。いきなりウエットスーツを着て蛸を担いで海から出て来て、ごっつい腕でニカッと笑ったら歯だけが白くて(笑)。すごく魅かれるものがあって、漁港通いが始まり、そのうちに潜り漁をやりたいなと思うようになりました。 私が育った東京では食べ物はなんでも「パック詰めのお肉、パック詰めの魚」みたいな感じで、(食材の)原型を見る事がなかったので、沖縄の漁師さんの暮らしには人が生きる原点がそこに凝縮されている感じで、どんどん魅かれて行って漁師さんに弟子入りしちゃったんです。 当然、両親は反対しましたね。まず沖縄へ移住するということでもその頃は今と違ってまだ珍しい時代だったので。父は「二度と家の敷居を跨ぐな」みたいな感じだったんで、私も「絶対東京に帰ってこない」といって沖縄へ来たんです。今は周りの評価もあって、少しづつ認めてくれ始めていたんですけど、子供をひとりで育てるようになって、また非難囂々ですね。「うちの娘は沖縄へ行って変わっちゃった」みたいな(笑)。

  • 4 最近、作風が変わって来た?

    やっぱり視点が変わってきますよね。「穫る」というよりも「守る」だったり。沖縄には陰陽の調和という考え方があって、特に漁村だと男が海で女が陸。「うーととー」(*1)と言って自然崇拝が残っているんですけど。今まで攻撃的な男性的な世界ばっかり撮ってきたのが、逆側の女性だったり命を生み出す側に興味がわいて来て。子供が生まれるまでは、厳しい海のしきたりがあるのであれば、女を捨ててでも、船に乗らせてもらおうという意気込みでやってきましたが、今は、自然の流れに任せて"待つ"ということが出来るようになりました。命を産み、育てる、という体験を通して、どうしても"不可欠"とされる"待つ"力を身につけはじめています(笑)。本来、女性のDNAに刻まれているのでしょうが、限りなく男に近い女(その逆も)も居るわけで・・・(苦笑)。"産む"という体験は、これまでの人生をリセットして、もっと太古のもの(自然)と繋がれるという、すごい機会です。女に生まれてよかったなと、しみじみ思います。「男は女からしか吸収できないが、女は、大地、海、風、岩や空気、あらゆるものから吸収できる」と神人から聞いていましたが、今、まさに、それがわかるような気がしています。女贔屓みたいですけど(笑)。 もともとは男っぽいというか、女といわれるのが厭だったのが、自然の中では太刀打ちできないものとして自分が女であることを自然に受け入れて行ったというか、自然の力なんですよね。先生とか親に言われたら余計に強がったりしたのが、時化てる海に出て行ったら死んじゃうとか、そういう太刀打ち出来ない大きな力で押さえつけられたら素直にハイって認めちゃったんです。海んちゅ(*2)だけでもまだ足りなかったんですね、漁師さんに「女らしくしなさい」と言われてもムカッとしたり。きっとオジィ海んちゅからしてみれば私は孫みたいなもので「しょうがないな」って思って我慢して受け入れてくれたんだと思いますね。今考えるとおかしな話なんです。そんな生意気だった私を直すために、うちの子は男の子として生まれて来たんじゃないかって思いますね。
    *1・・・古くから沖縄に伝わる自然崇拝のこと。 *2・・・沖縄では漁師さんのことを「海人(うみんちゅ)」と呼ぶ。

  • 5 SHIMICOM読者に一言

    五感を使うといろんなものが引き出されてくるので、自然の所へ出て行って欲しい。 自然の中に答えがあるので、まずは海へ行ったり自然に接したりすることで、頭で考えるんじゃなくて五感を使って欲しいと思います。 ホエールウォッチングは、まさに五感をフルに使いますよ、足は踏ん張るし(笑)。

    情報

    【古谷千佳子さんイベント情報】 企画展示「海人のわざ~潜り漁」
    日程:平成24年5月1日(火)~5月6日(日)
    場所:沖縄県那覇市テンブス館 3階ギャラリー
    主催:海人写真家 古谷千佳子  「Chica&co.(チカコーポレーション)」 http://www.chikakofuruya.com/
    「糸満海人工房・資料館」NPO法人ハマスーキ http://www.hamasuuki.org/home/
    那覇市テンブス館http://www.tenbusu.jp/
    古谷千佳子写真展「沖縄・海人   たからのうみの、たからもの。」
    期間:平成24年3月20日~6月24日
    場所:海の博物館(三重県鳥羽市浦村町大吉1731-68) http://www.umihaku.com
    お問合せ:海の博物館 TEL(0599)32-6006、FAX(0599)32-5581
    (クレジット)
    取材・文 丸内素子
    撮影 丑番直子
    協力 BLUE ZONE  http://www.bluezone.jp/