• この人のランニングフォームって、本当にキレイなんです。 元マラソン日本代表の市橋有里さんが今熱中しているという「旅ラン」。 市橋有里さんと一緒に「大阪城公園」と「神戸三宮」を旅ランしました。

    2012年4月特集「旅ラン」
  • 2012年4月特集「旅ラン」

    あなたは一年にどれくらい旅をしますか? 仕事での出張、プライベートな旅行・・・ この次の旅のスケジュールに、ラン時間を加えてみませんか。 旅行カバンにランニングシューズを忍ばせ 見知らぬ土地をランニング。 「どっちの道に行こう?」「こっちには何がある?」 好奇心に任せて走ってみる、それが「旅ラン」の醍醐味です。 「旅ラン」は、いつもの旅とは違った楽しさを教えてくれるに違いありません。

  • 旅ラン file 1:大阪城公園 全長2.5km

    start 森ノ宮口~goal 大阪城天守閣前広場
    (コース) 森ノ宮口~市民の森?京橋口?極楽橋?刻印石広場?天守閣前広場
    (本文) 春の暖かな陽射しの下、私(ライター鈴木)はランニングアドバイザーの市橋有里さんと大阪城公園の「旅ラン」を始めます。 この大阪城公園は太閤秀吉が建てた大阪城跡を公園にした歴史あるスポット。全長1.4kmから4.2kmまで長短4つのランニングコースが作られていて、普段からランニングを楽しむ人々で賑わっています。 スタート直後の「市民の森」は木々に覆われた気持ちのいいロードコース。元気な緑がポンポン目に飛び込んできて、まるで森の中を走っているような気分です。

  • 市橋さんとはおしゃべりができるくらいのゆったりペースで走ります。 先に望む大阪城は、今から約400年前に太閤秀吉によって築城が開始された城。それが大阪夏の陣と冬の陣で豊臣軍が破れ、徳川家康によって再築されました。その際、盛り土を10mも盛ったといわれています。 今走っている地面の下には秀吉時代の大阪城が眠っていると思うと、なんとも不思議な気持ちがします。

  • お堀沿いは土の歩道になっていて、舗装された道路とはシューズの踏み心地がまるで違います。土の地面は足の裏に柔らかく、弾むように一歩が踏み出せるので足が楽です。普段は意識することのない"足の裏の感触"を楽しむのもランニングの面白さかもしれません。 周りの木々や水辺の景色が早送り状態で視界に入ってきます。この感覚がなんだかとても気持ちがいいことに、ふと気がつきました。

  • 「極楽橋」を渡った先にはいよいよ天守閣が。さすが日本の観光名所、橋の上には大勢の人、人、人。そんな観光地をランニングしながら見て回るなんて人生初の経験!自分が地元の人になったような錯覚を覚え、走るとその土地に親近感が湧く、という気持ちが少しわかりました。 橋を渡ると「刻印石広場」が見えてきました。ここは大阪城の石組み跡です。様々な色や形をした巨大な石は結構な迫力。それにしても大阪城公園の道はアスファルトもあれば、土も石畳もあって、走り心地がいろいろ違うのが面白いですね。 さあ、この階段を駆け上ると天守閣が見えてきます!

  • 上り坂が続く道を走り抜け、ようやくゴールの「天守閣前広場」へ。 広場は観光客で大賑わいです。地上55m、5層8階、屋根の鯱、勾欄下の伏虎など、いたるところに施された黄金の装飾が輝く豪華絢爛な天守閣。まさに大阪の象徴ですね。 私たちは広場の奥で、お堀や大阪城公園の景色を眺望しながらひと休み。走る前よりも気持ちがスッキリと晴れやかになっているのを感じます。 旅先を走る「旅ラン」。私の新たな旅の楽しみとなりそうです。

  • 旅ラン file 2:神戸三宮 全長4km

    start 北野異人館風見鶏の館 ~ goal ポートアイランド北公園
    (コース) 風見鶏の館?JR三宮駅~ポートアイランド下歩道橋?ポートアイランド北公園
    (本文) 次は異国情緒溢れる神戸の街を「旅ラン」をします。スタートの「神戸異人館風見鶏の館」から、坂道を一気に下って「神戸ポートアイランド」まで走ります。

  • 北野異人館エリアは、高台に建つモダンな洋館や美味しいお店がたくさん建ち並ぶ人気の観光地。急な勾配のある坂道が多い街でもあります。 建物を見るのが好きという市橋さんは、そんな素敵な館を眺めながら走っていると坂道の辛さも忘れてしまう、と終始笑顔です。

  • 北野異人館通りを走り抜け、神戸税関へ向かい、日本一短い国道174号(全長187.1m)を走り抜けるとポートライナーの下の遊歩道へ入ります。ここは信号機がないので、ノンストップで走ることができる隠れたランニングスポットなのです。

  • 海が見えてきました。遠くに望める神戸の街を眺めながら、海の上を走る贅沢なひとときです。潮風に吹かれながら、遠くでキラキラ光る海面がなんともきれいです。

  • ゴールの「ポートアイランド北公園」へ到着です。ここはポートアイランドの北岸にある静かな公園です。神戸港と神戸の街並み、六甲連山を一望できるので、夜景を見ながらランニングするのもきっと素敵でしょうね。

  • 知らない土地を走る喜びが「旅ラン」にはある

    ランニングブームにともない、旅先でもランニングをする、いわゆる「旅ラン」が注目を集めています。旅先までシューズを持っていかなければならないとあって一見ハードルが高そうに思えますが、実は全くそんなことはありません。むしろ旅をより楽しくさせてくれる素敵なアイテムになるということを、今回身をもって体験しました。知らない街をドキドキしながら走り出して、走り終えた時には、その街に愛着を感じている自分がいるから不思議です。流行中の「旅ラン」について、日本や世界各地を走り巡ってきたランニングアドバイザーの市橋有里さんにお話を伺いました。

    市橋有里さんにとっての「旅ラン」とは

    (鈴木)
    私は今回初めてランニングに挑戦しましたが、心地よい風を感じながらゆるりと走る気持ちよさを実感できました。これまで様々な場所を走ってきた市橋さんですが、印象深い「旅ラン」エピソードはありますか?
    (市橋)
    小豆島の「オリーブマラソン」という大会に参加したときに、前日にオリーブオイル工場やお醤油屋さんなど、島で採れた素材で物を作っている場所やお店を、走りながら巡らせていただいたことがあります。島のことをよく知ることができたし、何より5月の小豆島の海の風がとっても気持ちがよかったので印象に残っています。空気は美味しいし、山と海と砂浜、またいろんな場所にお花やオリーブの木が植えられていたりと、景色もとっても美しかった。賑やかな観光地もいいですが、緑や水のある土地を走るのっていいですよ。

  • 市橋流「旅ラン」の楽しみ方

    (鈴木)
    いきなり知らない土地を走って、道に迷うことはないですか?
    (市橋)
    最近では周辺のランニングマップなどを作っているホテルも増えていますし、iPhoneの地図があるから安心してどこにでも走りに行っていますね。 私は美味しいものを探しに行くのが好きで、ランニングしながらパン屋さんやお食事処を探したりします。なにかいい匂いがするな?って自分の足で見つけるのは面白いですよ。その土地の朝市などに偶然巡り会えたり、本当に誰も気がつかないようなお店を発見したりすると嬉しくなりますね。 見つけたお店や気になった場所には、ウエアのまま立ち寄ることもあります。それぐらいのゆるさの方が、「旅ラン」では楽しいです。疲れたら止まってもいいし、カフェでお茶をしてもいいという楽な気持ちで。その方が、「旅ラン」の醍醐味が味わえると思います。 「この土地に行くとこの食べ物がある!」という食の楽しみは、次は家族を連れて来たいなという気持ちに繋がります。日本全国ひと通り回ったのですが、もう一回、二周目を回りたいくらいです(笑)。
  • 「旅ラン」は旅生活を快適にしてくれる

    (鈴木)
    「旅ラン」すると旅にどんな変化が生まれるでしょう?
    (市橋)
    旅行中は生活が不規則になって、女性の方だと便秘になったりむくんだりすることもありますよね。でもランニングをすると、汗をかいて代謝が良くなるから体調不良が解消されるし、睡眠も深くなって、旅行が快適になります。体だけでなく気持ちもスッキリするので、体と心のデトックス効果はあると思いますね。それと、食事がすごく美味しくなりますよ。走ってお腹が空いたらその土地の美味しいものを存分にいただく。そんな楽しみがあると、旅のモチベーションもあがりますし。 「旅ラン」するのと歩くのとでは移動距離が全く違ってくるので、その土地のことがより見えてきます。それに、その地域の匂いも感じることができる。走っていると風を受けるからそういった空気の違いも感じられるのでしょうね。特に海外に行くとそれがよくわかります。 知らない土地をゆっくり歩くのもいいけれど、私は13歳から走っているので走るのが当たり前というか、走る方が楽なんです(笑)。だから走って短時間でもいろんなところを見て回れるところが「旅ラン」の好きなところですね。
  • 「旅ラン」したい場所

    (鈴木)
    市橋さんがこれから「旅ラン」してみたい土地はどこですか? (市橋)ぜひ北欧の方で夜のオーロラを見ながら走ってみたいですね。すごく幻想的でしょうね。
    (鈴木)
    市橋さんにとって「旅ラン」とはどういうものでしょう? (市橋)旅から帰ってくると、自分の立ち位置を再確認できる気がします。ただ旅に行くだけでもリフレッシュできるんですが、それプラスその土地で今まで自分がやってきたランニングをすることで、更にリフレッシュできるんです。だから「よし、また頑張ろう!」っていう気持ちになれる。今ある自分を確認できるもの、ですね。

    ヘアメイク 寺田和美
    ロケ車両 ウィズ・ユー
    衣装協力 アディダス

  • 気軽に始める「旅ラン」

    (鈴木)
    ランニング初心者へ「旅ラン」のアドバイスをお願いします。
    (市橋)
    走るペースは周囲を見渡せるくらいの速さでいいんです。人がこの位で走っているから自分もそうしなきゃではなくて、ちょっとおしゃべりしながら走れるくらいのスローなペースで大丈夫。無理をしないで気持ちよく走るというのが一番長続きしますから。 あと、普段都会にいる方こそ、旅に出てそこで本当のランニングの気持ちよさを知ってもらえたらいいな。最近はウエアのバリエーションも増えているので、お洒落に着こなして。自分の気に入ったウエアで走ると楽しさもまた格別ですよ。
    (取材を終えて)
    くるくると移り変わる景色を見渡しながら、好奇心の赴く方向に向かってステップを踏み出すのは想像以上に楽しいものでした。次はもう少し走りに慣れて、市橋さんのような美しいフォームを目指します(!)。興味が湧いてきた方、ここは思い切って「旅ラン」でランニングデビューをするのもひとつの手かもしれません。きっとあなたの旅がより色濃いものになるはずですよ。
    (出版情報)
    スローラン いまから始めるランニングメニュー(池田書店)
    市橋有里(著) ¥1300+税
    (クレジット)
    取材・文 鈴木ハルカ
    写真円山正史(円山写真事務所)