• あなたは普段どんな食器を使っていますか? 毎日使うコーヒーカップやお茶碗だからこそ、自分の感覚に合うお気に入りのものを取り入れてみましょう。きっと日常生活に嬉しい変化が生まれるはずです。 今回お邪魔したのは、東京ミッドタウンに店舗を構える『NAGAE』。こちらは、瀬戸物の概念を覆すハイセンスなテーブルウエアで注目を集めている食器ブランドです。『NAGAE』の食器デザイナーでもある長江一彌さんに、普段使いのテーブルウエアについてお話を伺いました。

    2012年5月特集「ー普段使いの食器ー 」
  • 2012年5月特集「テーブルウエアから生活が変わる」

    あなたは普段どんな食器を使っていますか? 毎日使うコーヒーカップやお茶碗だからこそ、自分の感覚に合うお気に入りのものを取り入れてみましょう。きっと日常生活に嬉しい変化が生まれるはずです。 今回お邪魔したのは、東京ミッドタウンに店舗を構える『NAGAE』。こちらは、瀬戸物の概念を覆すハイセンスなテーブルウエアで注目を集めている食器ブランドです。『NAGAE』の食器デザイナーでもある長江一彌さんに、普段使いのテーブルウエアについてお話を伺いました。

  • 『NAGAE』を立ち上げたきっかけ

    (SHIMICOM)『NAGAE』というブランドを立ち上げた経緯を教えてください。 (長江)瀬戸物というと安物の代名詞みたいなイメージを持たれがちですが、そうではなく、高い技術も持っているし本当はすごいんだよというのを形にして世に出したいと。そうして立ち上げたのが『NAGAE』です。本社の瀬戸製型(※1)がある愛知県瀬戸市は、瀬戸物の町として1300年以上もの歴史があるのに、有田焼のような確固たるブランドとしての位置付けがなかったんです。だから、瀬戸から発信するブランドとして世界へ通じるようなものを作りたいなと思ったのがきっかけでした。 それともうひとつ、職人さんを残したかった。技術的に難しいものっていうのはどんどんやる人がいなくなる。だからいい腕を持った職人さんたちを残したいという思いがありました。

    ※1・・・創業100年となる長江さんのご実家。磁器の型の製造・販売を行い、近年は飲食店を中心としたオリジナル食器のオーダーにも取り組む。
  • 普段使いを想定したデザイン

    (SHIMICOM)どれもお洒落で、従来の瀬戸物とは違って見えますね。 (長江)いろんな技術を駆使して商品にしていきました。薄さにこだわったもの、形状にこだわったものなど、すべてひと手間もふた手間もかけて作っています。それに見た目は華奢ですが、欠けにくいですし丈夫なんですよ。 僕は食器は道具と考えているので、普段の生活の中で使う場合はやはり薄さや軽さって大事だと思うんです。飲食店の食器を作っている時は、薄くて軽くて丈夫で、収納にも場所を取らない食器を作ってくれと、そればかり言われていましたから(笑)。最初は苦戦しましたが、この経験は食器を作る上でとても勉強になりましたね。

    (SHIMICOM)長江さんはひとつひとつ手書きでデザインを? (長江)はい、スケッチブックにデッサンするという原始的な方法でやっています(笑)。デザイン画ができたらそれを瀬戸の工場に送って型に起こすんです。手書きだと、このラインに特長を出したい、というのが職人に対して伝わりやすいんですよ。焼くと小さくなるので、実際に出来上がる器の一割大きい型を作るんです。

  • お気に入りだからこそ日常で使う

    (SHIMICOM)『NAGAE』のテーブルウエア、美しくて使うのが勿体ないような気がしてしまいます。 (長江)いえいえ、特別な皿としてしまっておくのではなく、ぜひ普段から使ってほしいです(笑)。だからできるだけお客様には「この皿はこういう目的で作った」と伝えるようにしています。例えば「この皿にはお魚を乗せるんです。大きなサンマでも乗りますよ」と説明するんです。すると、そのお皿にお魚を乗せてみたいと思うでしょう?そういうちょっとしたきっかけになる話をすることで、すぐに使いたくなるし、使う時にそれを話題にしてくれるんじゃないかなと思うんです。それだけでも楽しい食卓の風景が思い浮かびますよね。 お皿ってもちろん料理の脇役でいいのですが、僕は少し主張する部分があったり、存在感がある食器というものを目指しています。面白い形やデザイン、機能性を見て、食卓での会話が盛り上がってほしい。場が楽しくなる食器を日常に取り入れるのっていいな、と思ってもらえたら嬉しいですね。

  • 提案型の食器作りへ

    (SHIMICOM)今後はどういう展開をしていきたいですか?

    (長江)今まではレストランのシェフがどういう食器を求めているかを聞き、そのニーズに合わせて作っていたのですが、これからはこちらからも提案していけたらと。以前お皿の中にスプーンの型が付いているパスタプレートを作ったんです。パスタを食べる時フォークとスプーンを使うでしょう?でもこの皿だとスプーンは必要ありません。フォークだけでカジュアルにパスタが食べられないか、と考えた所から生まれたんですが。こういう提案型のスタイルでやっていけたらと思っています。 まだ試作中ですが、現在マカロンの形をしたリップバームを作っています。意外かもしれませんが、磁器でこういうものも作れるんですよ。これからはこうした食器以外の分野にも広げていきたいですね。

  • 「NAGAE」は、リッカートンホテルやドトールコーヒーのテーブルウェアも手掛ける食器ブランドなのだとか。なるほど、とてもシンプルなのに手に取ると驚くような軽さ。使うことを考えたテーブルウェアであることがわかります。「なんだか面白そう・・・!」いつの間にか私は、斬新なテーブルウェアの世界に引き込まれていました。

  • 見てください、こちらのプレート。普通のお皿とはどこか少し違うと思いませんか?そう、皿の中に小さなくぼみが付いているのです。実はこれ、パスタを巻き上げるときに使うスプーンの機能を備えたパスタ専用のプレートなのです。

  • そしてこちらの土鍋。あれ?よく見ると、鍋を持つ取っ手が付いていません。これなら食卓で鍋を囲む時、誰もが鍋の正面に座ることができます。今までありそうでなかった発想だと思いませんか?

  • そんなちょっと変わった食器を作り出しているのが「NAGAE」です。東京ミッドタウンに出店している店舗はまるでジュエリーショップのよう。恐る恐る中を覗くと、薄暗い照明の中に美術品の様な美しい磁器が優雅に並んでいました。

  • 使いたくなるテーブルウエア

    (SHIMICOM)テーブルウエアひとつで日常にいい変化が生まれそうですね。 (長江)そうなれば嬉しいです。『NAGAE』を立ち上げる時「今の時代、食器なんてみんないっぱい持っているでしょ」という所からのスタートでした。じゃあその隙間に入り込める食器って何だろうと考えた時、「この皿を使いたい」と思えるかどうかじゃないかと。「今日はパスタだよ」ってスプーン機能の付いたパスタプレートに盛り付けられて出てきて、そこで皆が「わっ、面白いこのお皿!」って盛り上がったらその場も楽しくなりますよね。そういう、使うことが楽しいと思える食器をこれからも作っていきたいですね。

    (取材を終えて) ひとつのテーブルウエアの存在が、日常を明るく気持ちのいいものに変えるきっかけになるなんて、これまで意識したこともありませんでした。暮らしを楽しむための素敵なヒントをいただいたような気がします。 自分の感覚に合う食器をセレクトし、惜しまずに使いこなす。それが普段の暮らしに彩りを与えてくれます。新しい生活が始まるこの季節、胸がときめくようなお気に入りのテーブルウエアをぜひ探してみませんか?

    (クレジット) 取材・文 鈴木ハルカ   写真   円山正史(円山写真事務所)
    (店舗データ)
    NAGAE
    東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガリレア3F
    03-5413-3343
    HP http://www.tokyo-midtown.com/jp/shop-restaurants/interior-design/SOP0000101/index.html