• 12号READ特集
    「クリスマスカードはギフト感覚で」

    感謝祭が終わると、いよいよクリスマスの準備が始まります。
    普段あまり会えない人の顔を思い浮かべながら
    気の利いたクリスマスのメッセージを考える。
    そんな時間が、案外楽しかったりするもの。

    クリスマスカードは、寒い季節のあったかいプレゼント。

    Happy Christmas

  • クリスマスカードが行き交うシーズンになりました。華やかに彩られたカードを目にするだけで、とても幸せな気分になるものです。でも、クリスマスカードって、どう書けばいいのでしょう?

    今回お話をうかがったのは、一般社団法人手紙文化振興協会理事長のむらかみかずこさんです。手紙のプロフェッショナルでもあるむらかみさんに、気持ちが伝わるクリスマスカードの書き方を教えていただきました。

  • (プロフィール)
    むらかみかずこ。作家、一般社団法人手紙文化振興協会理事長。東京女子大学文理学部史学科卒。企業・自治体向けの研修や、一般向けに自宅にいながらにして手紙の書き方が学べ、言葉の勉強ができる「手紙の書き方通信講座」を実施。今の時代に合う気軽で楽しい手紙の書き方を提唱、手書きの良さを広く社会に発信しつづけている。一筆箋、レターセット、万年筆、記念切手などの手紙アイテムをこよなく愛し、文具会社向けに商品開発支援、レターセットの監修等を行う。テレビ・ラジオ出演、新聞・雑誌掲載も多数。NHK Eテレ『まる得マガジン 心が通じる一筆箋』講師。
    [HP]
    http://www.tegami.or.jp
    http://www.yourletter.jp
  • 手紙とは、気持ちを伝えるもの

    (SHIMICOM、以下S)子どもの頃から手紙を書くのが大好きだったとか?
    (むらかみさん)今思えば私は口下手だったんです。お友達とたわいもない会話はできるけれど、わかって欲しい気持ちを声に出してその場で伝えることができなくて、後から「ああ言えば良かったな」と考えてしまうタイプでした。でも手紙なら言葉を選んで自分のペースで書けますし、間違ったら書き直せます。文房具も好きで、お小遣いを握りしめて文房具屋さんに行っては、「わぁ、このレターセットで誰に何を書こう?」とワクワクしていた記憶があります。
    通信講座を受けていた時は、赤ペン先生宛てにしょっちゅう手紙を書いていましたし(笑)。就職した時には、遠距離恋愛中の彼に毎日毎日手紙を書いていました。当時は手紙を書くことが連絡を取り合う唯一の手段で。ですから、振り返ると手紙とずっと縁のある人生なんです。
  • (S)むらかみさんにとって、クリスマスカードとは?
    (むらかみさん)まず、選ぶ楽しみがありますよね。近ごろは驚くほどたくさんの種類が出ていて、音が鳴ったり香りが付いているものまであります。ですから選ぶのがとても楽しいんです。私はカードを選ぶところから手紙を書く行為は始まっていると思っています。「あの方にはこのカードが似合いそう」とか「これは喜んでくれるんじゃないか」と、受け取った方の反応を想像しながら選びます。またクリスマスカード自体がギフトになるので、もらった側も「こんな素敵なカードをいただいて嬉しい!」と玄関やリビングにインテリアとして飾っておけます。カードでありながら立派なギフト。そこがクリスマスカードならではの魅力ですね。
  • (S)印象的だったクリスマスカードはありますか?
    (むらかみさん)男性からいただくと印象に残りますよね。「えっ、あの方、こういうことをする人なんだ!」とギャップを感じるというか(笑)。普段そんな素振りも見せなかったのに、その人の意外な一面を知ったようで。また女性同士でも、クリスマス会などでプレゼント交換をする際に、手書きのカードが添えられているだけで印象が良くなります。年末は特に物をやり取りする機会が多くなりますので、そこに手書きメッセージを一言添えるだけで、印象がぐんと変わると思います。難しく考えずに気軽なメッセージでいいんです。私が心に残っているのは「いつも幸せを願っています」という言葉です。頻繁にやり取りはしていないけれど、「ああ、優しい人だな」と、その時はその方を近くに感じました。たったその一行で、心がとても温かくなりました。
  • ポイントは手書きのメッセージ

    (S)クリスマスカードを書く時の注意やマナーを教えてください。
    (むらかみさん)はい。まず文字はカードを開いて右側、上下に開く場合は下側に書くのが基本です。その場合、左側、上側は空白のままにしておきます。言葉は、やはり一年の締めくくりですから今年一年を感謝して、「また来年いい一年を迎えられますように、来年もよろしく」という明るい気持ちを書きましょう。短い文章の方が相手に「返事を書かなきゃ」というプレッシャーを与えずに済みます。余白が気になる場合は、スタンプやシールを貼ると華やぎますよ。最近はこだわったデザインのカードも多いですが、どこかに一行でいいので手書きでメッセージを入れることが大事です。例えば「今年一年ありがとう」とか「よいお年をお迎えください」でいいんです。手書きの文字はその方の人柄が出ているものですから、ぜひとも添えていただきたいです。年賀状も同じですが、新年の抱負や、近況報告を一言添えるといいでしょう。
  • 書くのが楽しくなるコツ

    (S)「書くのは苦手」という気持ちを「楽しい」に変えるコツを教えてください。。
    (むらかみさん)一番大事なのは自分自身が楽しんで書くことです。
    そのために重要なのがペン選びです。文字の印象はその人の印象と重なりますから、大きな文字で爽やかに元気良く綴っていれば「この人は明るくて元気な人なんだな」という印象を持ってもらえます。字が下手とか文字を書くことに苦手意識を持っている方は、ボールペンより万年筆などインクのペンがおすすめです。
  • 書く時は3つのポイントがあります。一つ目は、「大きく書く」。苦手意識から小さく書きがちになりますが、小さい文字は読みにくくなります。まずは美しく書くよりも大きく読みやすく書くことです。二つ目は、「太字で書く」。三つ目は、「青インクで書く」。青インクの文字は爽やかで元気が良く、生き生きして見えるんです。この3点を意識すると、とても爽やかな文字が書けます。私は必ず万年筆を使いますが、春先はすみれ色、夏はターコイズ色と季節によってインクを使い分けています。それに万年筆やペンだと太い細いの抑揚が自然に出るので、とても味わいのある文字になります。字を書くのが苦手な人ほどペン選びに時間をかけていただきたいですね。誰でもお気に入りの一本を持つと、それだけで何か書きたくなるものです。
  • クリスマスカードを送る方にアドバイスを。
    (むらかみさん)クリスマスカードは人間関係を良くしてくれるコミュニケーションツールです。送るだけで相手に喜んでもらえますし、相手のイメージに合わせた一枚を選んだり、自分らしい一枚を選ぶことで、お互いの心の距離を縮めてくれます。世間でカードが飛び交う時期ですから、クリスマスカードに便乗して普段メールでは伝えられない想いを伝えてもいいと思います。

    むらかみかずこさんの新刊『手書きで心を伝える一筆はがき』(NHK出版)は全国の書店にて絶賛発売中。

    (取材を終えて)
    近年のクリスマスカードは本当にバリエーションが豊かで、驚くほど凝ったデザインのカードも続々登場しています。その素敵な一枚に、手書き文字のメッセージが添えてあると嬉しさは倍になります。
    今年はぜひお気に入りのペンを用意して、手書きメッセージを添えたクリスマスカードを送ってみませんか。
    取材・文 鈴木ハルカ  
    写真 中根佑子