• 8月号READ特集
    フランス留学で出会ったバー・オ・ソル

    バレエダンサーになりたいと思ったこと、ありませんか?
    ピンと伸びた背筋、
    指の先まで神経が行き届いた美しいポーズ。
    バレエダンサーは女性にとって永遠の憧れ。

    でも、大人になってから習おうと思うと敷居が高そうで……
    そんな方におすすめなのが、バー・オ・ソル。
    別名・床の上のバレエと呼ばれるバレエの基本メソッドです。

    〔WATCHでは特別プラベートレッスンをご紹介しています〕

  • 日本中に、「バー・オ・ソル」を広めたい

    バー・オ・ソル。これはバレエダンサー向けのトレーニング方法としてフランスで考案されたフロアエクササイズです。日本ではあまり聞き慣れない言葉ですが、数年前に映画「ブラックスワン」で主演のナタリー・ポートマンが役作りのためにこのバー・オ・ソルをトレーニングに取り入れたことで一躍有名になりました。
    そんなバー・オ・ソルとは一体どういうものなのでしょう?
    レッスンスタジオを開き、そこでインストラクターをしているバレエダンサーのKANAMiさんに、バー・オ・ソルについて、お話をうかがいました。

  • (プロフィール)
    KANAMI(かなみ)。バレエダンサー。
    バー・オ・ソル講師。広島県生まれ。2歳より日本舞踊を習い始め、その後ジャズダンス、クラシックバレエへと転向し、16歳よりフランス・カンヌ・ロゼラハイタワー・バレエ学校に留学。留学中にバー・オ・ソルと出会い、ボリス・クニアセフ氏の愛弟子であるジャクリーン氏より直接指導を受ける。その後、モスクワ国立ボリショイバレエアカデミーに留学し、卒業(ディプロマ取得)。ワシントン・バレエ団にて研修後、米国・コロンビア・クラシカルバレエ団と契約し、入団後わずか2ヶ月で「くるみ割り人形」の主役に抜擢され全幕を踊る。以後、数々の欧州のバレエ団を経て、帰国。2008年より一年間、毎日新聞にてバレエの連載を執筆。2012年9月よりクニアセフ派バー・オ・ソルのスタジオ、〈Studio du Barre au sol "Ca"〉をOPEN。
    現在はフリーランスのダンサーとして舞台に立つ傍ら、定期的にパリで学びながらバー・オ・ソルのインストラクターとしても活躍中。
    HP http://www.barre-au-sol.asia/
  • バー・オ・ソルとの出会い

    (SHIMICOM、以下S) バー・オ・ソルとは、どういうものなのですか?
    (KANAMIさん)フランス語で“バー”というのはバレエで行うバーレッスンのことで、“ソル”というのは床のこと。つまり“床の上で行うバレエのレッスン”という意味です。別名フロアバレエとも言います。床の上で自分の体重で負荷をかけながら行うので、身体に無理がなく、かつ股関節の柔軟性を出していきながら体幹を鍛えることができます。座ったり寝たりしながら行う体幹トレーニングですね。
    私たちダンサーは、一時間半の基礎トレーニングを毎日必ず行います。バー(バーレッスン)(※1)と、バーから離れてセンターで行うもの(センターレッスン)があるんですが、そのバーレッスンのメニューをそのまま、座ったり寝たりしながら行うのがバー・オ・ソルです。通常は立って行うレッスンを、そのまま床で行うという感じです。

    ※1・・・バレエのレッスンは「バーレッスン」と「センターレッスン」に分かれる。バーレッスンはバーに掴まって、バレエの基本の動きを練習すること。

  • (S)バー・オ・ソルに出会ったきっかけを教えてください。
    (KANAMIさん)16歳でパリに留学していた時にバー・オ・ソルに出会いました。ヨーロッパでは、バレエ学校の学生たちは代々"ダンサー"の家系がほとんどで、彼らの両親は惜しみなく子供に本物のバレエの環境を与えます。私の両親がバレエダンサーでないと聞くと驚かれたものです。練習中心の日本と違って、パリのバレエ学校では、フィジカルな面でのサポートや学ぶ機会も多く、解剖学の授業もあります。トレーナーさんに無料でマッサージしてもらえたり、学校に病院まで入っていて怪我のサポートをしてくれます。ですので学生は朝の9時から夕方18時まで、ずっとバレエ中心の生活ができるんです。
    バー・オ・ソルはフランスで80年以上前に開発されたメソッドなんです。フランスではバレエの前に必ず行うメソッドとして一般的で、私が取り入れているのは、もともとの考案者であるクニアセフさんという方が作った伝統のあるメソッドです。
    バレエダンサーは股関節の柔軟性がパフォーマンスの質を決めるというくらい、股関節の柔軟性がとても重要です。私はバー・オ・ソルを行ってバーレッスンをすると、足が軽く上がったり、軸がしっかりするので綺麗に回転できたりと、その効果をすごく実感しずっと続けるようになりました。
  • 手軽に始められるバー・オ・ソル

    (S)バー・オ・ソルの魅力とは?
    (KANAMIさん)エクササイズとストレッチが一緒にできるところが魅力だと思います。普通トレーニングと言うと、太ももや腹筋など、部位を使うメニューが多いと思いますが、バー・オ・ソルは、最初から最後まで全身を使うんです。力を緩めて、ストレッチをしながら行いますので、最終的に身体が柔らかくなって可動域も広くなりますし、同時に体幹も鍛えられます。それと、何といっても手軽に始められるところですね。畳一枚分あれば、どこでもできますし、特別な器具もウェアも必要ありません。
  • (S)バー・オ・ソルで身体にどういった変化が?
    (KANAMIさん)通常立っている時って、自分の軸がわかりにくいんですね。力を緩めて、自分の中心の軸を探していくのがこのトレーニングです。自分の体重を利用しながら行う動きなので、初心者でも身体への負担が少ないですし、効率良くインナーマッスルを鍛えることができます。身体の柔軟性も高まりますし、背筋などの筋力が向上するので肩こりや腰痛などの解消にも繋がりますね。
    (S)レッスンを受けた生徒さんの反応は?
    (KANAMIさん)レッスンは大体一時間くらいなんですが、終わって帰られる時に「立っている時の姿勢がラクになった」とか、「足が軽くなった」という感想をよく言われます。
    教室を始めて2年になりますが、やはり最初はバレエは敷居が高いイメージを持たれているようで。「身体が固い」とか、「体幹がないから」と不安を口にされる方も多いんです。でも、やっていくうちにだんだん身体のラインが綺麗になったり、人から後ろ姿を褒められるようになったり、そういう身体の変化を自分で実感するようになるとモチベーションが上がってくるんですよね。実際、立ち姿や姿勢が変わりますし、身体も柔らかくなりますから。手軽に始めることができるので、一度体験されてずっと続けられているのだと思います。
  • (S)バー・オ・ソルに興味を持たれた方にアドバイスをお願いします。
    (KANAMIさん)運動したい、ダイエットしたいと思っていても、「よしっ!」って気合いを入れないとできない方や、ノルマになってしまって長続きしない方って多いと思います。最初にレッスンでコツを掴んでいただいて、後は自分で続けていただければいいんです。そのためにも「やらなきゃいけない」ではなく、自ら「やりたい」と思えるような楽しいレッスンを心がけています。ぜひ一度体験していただけたらと思います
    Studio du Barre au sol "Ca" http://www.sdb-ca.com
    (取材を終えて)

    床の上に寝転んで行うレッスンと聞いて、正直「楽そう」と思ったのも束の間。「自分の身体なのに、まったく言う事を聞いてくれない!」
    やることはシンプル。寝転んだまま、足を上げたり腕を上げたり。実はこうした動作を行うのがインナーマッスルの役目なのだそう。優雅なピアノの伴奏に合わせて1時間。レッスンが終わる頃には汗びっしょりに。まわりの生徒さんは「姿勢がよくなったわ」、「洋服が似合うようになったかも」とすっかりバレリーナ気分。床の上のバレエ=バー・オ・ソルは、心身ともに“バレエ効果”をもたらしたようです。

    (クレジット)
    取材・文 鈴木ハルカ  
    写真 円山正史(mili)