• 9月号READ特集
    「冷製スープを飲んだことがありますか?」

    レストランの夏のメニューだった冷製スープですが
    最近はコンビニエンスストアでも買えるようになりました。
    おいしいだけでなく、“飲むサラダ”と呼ばれる冷製スープ。
    今月のSHIMICOMは、
    冷製スープを栄養の面からしっかりと捉えます。

  • 身体においしい冷製スープ

    まだまだ残暑が厳しい9月。
    夏の疲れや紫外線による肌のダメージを実感するこの時期、おすすめしたいのが冷製スープです。冷たい喉ごしで、野菜をたっぷりいただける冷製スープはいわば「飲むサラダ」。

    今回は全国で28万人の会員を持つ人気のABCクッキングスタジオが、「食と栄養」に注目して創設したABC HEALTH LABOで管理栄養士をされている板垣好恵さんにお話をうかがいました。

    (プロフィール)
    板垣 好恵(いたがきよしえ)。ABC HEALTH LABO 管理栄養士、ヘルスフードカウンセラー。
    全国で料理教室を展開するABCクッキングスタジオでヘルスケア事業を推進する「ABC HEALTH LABO」に所属。管理栄養士、ヘルスフードカウンセラー1級の資格を持ち、食の面から「美容・健康」にアプローチできるレッスンやイベントの企画・運営の他、食生活を診断するヘルスフードカウンセリングや妊活女性をサポートするプログラムの開発など、多岐にわたる業務を担当している。
    HP https://www.abc-cooking.co.jp

  • 食と健康のいい関係

    (SHIMICOM、以下S)板垣さんの肩書きはは、管理栄養士なんですね?
    (板垣さん)私の学生時代の夢は「食でスポーツ選手をサポートする」ということでした。それで「食と栄養」について興味を持つようになり、栄養学について勉強し、管理栄養士の資格を取得しました。現在はヘルスケア事業を行う部署で「食と健康」をテーマに目的に合わせたレシピを開発したり、レッスンを実施したりしています。
    (S)栄養学的には冷製スープとは?
    (板垣さん)人間の身体は2/3が水分でできています。夏場は汗で水分がどんどん出てしまいますので、失った水分と、汗と一緒に出てしまったミネラル分を補給できるスープは大変効率のいい飲み物だと思います。厳しい暑さに加え、夏はお酒とおいしいお料理に接する機会が多いため、胃腸に負担がかかり食欲も落ちてしまいがちです。そんな時にサラリと飲めて、野菜の大事な栄養成分もしっかり摂れるところが冷製スープの大きな魅力だと思います。
  • (S)冷製スープの特長とは?
    (板垣さん)温かいスープとの一番の違いは、冷製スープの方が調理工程で栄養素の損失が少ないところです。例えば、多くの野菜に含まれるビタミンCという栄養素は熱に非常に弱いです。また、生野菜に多く含まれている水溶性の酵素も熱に弱く、45℃以上くらいで壊れてしまいます。その点加熱せずに調理できる冷製スープは、熱に弱いビタミンや酵素もしっかり摂れるので栄養的により優れていると思いますね。
    短時間で調理できるところもメリットだと思います。夏場のキッチンはすごく暑くて辛いですよね。冷製スープは、一般的なメニューであれば加熱を必要としないのでコンロの熱を回避できますし、基本的に材料を切って合わせるだけということで短時間で調理できます。
  • 秋口に飲みたいスープ

    (S)この時期おすすめの冷製スープを教えてください。
    (板垣さん)今回は効用別に3つのスープをご用意しました。まず、紫外線をたくさん浴びたお肌のケアに「トマトのガスパチョ」。トマトは、甘みと酸味が強く食欲増進効果があると言われています。栄養価も高く、強い抗酸化作用を持つリコピンがとても豊富です。夏の強い紫外線を浴びてダメージを受けた肌のケアをしてくれるのがリコピンなので、ぜひ摂っていただきたい栄養素ですね。リコピンは油と一緒に調理をしたり摂取することで、体内での吸収率がとても良くなるんです。ですからオリーブオイルを加えるのがポイントです。今回はトマトの他に、パプリカも使います。パプリカは特にビタミンA とビタミンEが多く、血流を改善してくれます。
  • (レシピ)トマトのガスパチョ

    レシピ開発:ABC HEALTH LABO

    材料(2人分)
    トマト 1/2個
    きゅうり 30g
    パプリカ(赤) 30g
    セロリ 20g 
    玉ねぎ 20g
    フランスパン 1枚(15g)
    塩 少々
    黒こしょう 少々
    砂糖 小さじ1/8
    レモンのしぼり汁 小さじ1
    エキストラバージンオリーブオイル 小さじ1
    下準備
    ・トマトはくし形切りにし、種を取り除いておく。
    ・きゅうり、パプリカ、セロリ、玉ねぎはひと口大に切っておく。
    作り方
    ①ミキサーにトマト・きゅうり・パプリカ・セロリ・玉ねぎ・フランスパン・aを入れ、なめらかになるまで回し(約1分)、冷蔵庫で冷やす(約30分)。
    ②器に盛り付け、オリーブオイルをまわしかけ、飾り用のトマト・きゅうり(分量外)を飾る。
  • (板垣さん)身体の疲労回復に「枝豆のピリ辛冷製ポタージュ」。枝豆は大豆になる前の食材で、他のお野菜に比べて特にビタミンB1とビタミンB2が豊富です。エネルギー代謝を良くしてくれるのがこれらビタミンB群で、食べたものを効率よくエネルギーに変えてくれる働きがあります。また大豆は良質なタンパク質を含みます。髪の毛や肌はタンパク質でできているので、その元になるものをしっかり摂ることが疲労回復に繋がります。
    大豆製品に含まれる、エストロゲンという女性ホルモンに近い働きをしてくれるイソフラボンにも注目です。残暑の頃は暑かったり寒かったりで自律神経が乱れ、ホルモンバランスを崩しがちになります。女性のホルモンバランスを整える意味でも、積極的に摂取してもらいたいですね。
  • (レシピ)枝豆のピリ辛冷製ポタージュ

    レシピ開発:ABC HEALTH LABO
    材料(2人分)
    枝豆(冷凍) 70g
    玉ねぎ 100g
    水 200cc
    コンソメ(顆粒) 小さじ1
    絹ごし豆腐 1/2丁
    塩 少々
    黒こしょう 少々
    ラー油 適量

    下準備
    ・枝豆は解凍し(時間はパッケージ参照)、さやから出しておく。
    ・玉ねぎは繊維に逆らった薄切り。
    ・豆腐は水切りをしておく。
    作り方
    ①耐熱容器に玉ねぎ、水を入れふんわりとラップをかけ、電子レンジで加熱する(500W約3分30秒)。
    ②粗熱が取れたら、ミキサーに汁ごと入れ、枝豆、コンソメ、豆腐、塩、黒こしょうを加え、なめらかになるまでまわし(約1分)、冷蔵庫で冷やす(約30分)。
    ③器に盛り付け、ラー油を垂らす。
  • (板垣さん)夏バテ解消や身体のだるさの軽減に「たっぷり野菜の冷やし味噌汁」です。
    注目食材はきゅうり。カリウムというミネラルがとても豊富です。カリウムはデトックス効果がありむくみの解消にいいんです。汁物やしょっぱいものを摂りすぎた時、塩分を外に排出する働きをしてくれます。また、筋肉の動きに関わる栄養素なので、カリウムが汗で流れてしまったままの状態だと身体がだるくなり、それが夏バテに繋がります。ですから、汗をかき、塩分が多いものを食べる機会の多い夏は積極的にカリウムを摂りたいものです。
    温かいお味噌汁とも違い味も新鮮だと思いますよ。具材は生で食べる野菜であればどんなものを使っていただいても構いません。今回はミョウガや青じそといった香辛野菜も使うので、香りや味に刺激され食欲増進にもなります。
  • (レシピ)野菜たっぷり冷やし味噌汁

    レシピ開発:ABC HEALTH LABO
    材料(2人分)
    きゅうり 10g
    ミョウガ 1個
    青ねぎ 1本
    なす 20g
    青じそ 2枚
    プチトマト 2個
    塩昆布 3g
    かつお節 2g
    合わせ味噌 20g
    冷水 300cc

    下準備
    ・きゅうり、ミョウガ、青ねぎは小口切り。
    ・なすは半月切り。
    ・青じそは千切り。
    ・プチトマトは縦4等分に切っておく。
    作り方
    ①ボウルにaを入れ、塩昆布・かつお節・合わせ味噌を加え、全体をよく混ぜ合わせなじませる。
    ②器に①を半量ずつ入れ、それぞれに冷水を少しずつ加えながら混ぜ合わせる。
  • おいしいスープを作るポイント

    (S)自宅でおいしい冷製スープを作るためのコツとは?
    (板垣さん)まずひとつは、野菜は新鮮なものを使うこと。加熱をせず生で召し上がっていただくスープなので、素材の味がスープの味に大きく影響します。ちょっと傷んでしまったものを使うよりも、一番状態がいいものを使っていただいた方がおいしくできあがります。
    もうひとつは塩分に注意すること。人間の味覚は温かいものより冷たいものの方が味を強く感じやすいんです。ですから、冷製スープは「ちょっと薄いかな?」くらいで止めておいた方が、冷やした時に丁度いい塩梅でいただけると思います。冷製スープを通して、“食べ物が身体を作る”ということをもっと多くの方に知っていただけたらと思いますね。
    (取材を終えて)

    お話をうかがって、冷製スープが栄養学的に適ったものだと知りました。何より驚いたのは冷製スープは意外と簡単に作れること。野菜を切り、お水や調味料などと共にミキサーに加えればあっという間に完成です。野菜の栄養成分が丸ごと摂れると聞き、早速試してみたくなりました。季節の変わり目となるこの時期、栄養満点の冷製スープで身体のメンテナンスをしてはいかがですか?

    (クレジット)
    取材・文 鈴木ハルカ  
    写真 円山正史(mili) 
    取材協力:株式会社ABC Cooking Studio