• SHIMICOMより、謹んで新年のお慶びを申し上げます。

    1号READ特集
    「ワインボトル入りの高級日本茶が目指すもの」

    日本のお茶といえば、緑茶です。
    イエローグリーンのお茶色の水色(すいしょく)は
    見た目にも清冽、まさに一服の清涼感。

    ペットボトル入り緑茶が当たり前になりましたが
    今回取り上げるのは、ワインボトルに入った緑茶。
    フレンチに合うという最高級緑茶の世界へ、どうぞ。

  • ワインボトルの中身は日本茶と聞いて耳を疑いました。さらに1本数千円から数万円、最高レベルは30万円というお値段にも。
    「ロイヤルブルーティー」は、これまでにない高級日本茶です。
    このお茶がノンアルコールの食中ドリンクとして、今やワインやシャンパンと肩を並べるポジションを確立しつつあると聞いて、社長の吉本桂子さんに、この高級日本茶誕生のきっかけと、そこに込められた思いをうかがいました。

  • (プロフィール)
    吉本桂子(よしもとけいこ)。ロイヤルブルーティージャパン株式会社 代表取締役社長。共立女子大家政学部生活美術学科卒。大学卒業後、グラフィックデザイナーとして活動。2004年、現在の共同経営者である佐藤節男氏が主宰していたティースクール「茶聞香(ちゃもんこう)」で高級茶の世界と出合う。2005年事業化を薦められ、2006年高級茶を自社で一貫開発・製造・販売する「ロイヤルブルーティージャパン株式会社」を創業。07年「ROYAL BLUE TEA」を正式に発売し、同年から3年連続でベルギー・モンドセレクション金賞を受賞。11年より日本航空国際線ファーストクラス全便搭載。13年農商工連携事業者「浜松天竜茶生産者 太田昌孝氏」が天皇杯受章。13年第2回DBJ女性新ビジネスプランコンペティション「DBJ女性起業大賞」(日本政策投資銀行主催)を受賞。
    ロイヤルブルーティージャパンHP
    http://www.royalbluetea.com
  • ワインボトルは、時代に合わせたスタイル

    (SHIMICOM、以下S)まず、なぜワインボトルにしたのですか?
    (吉本さん)高級感を出したくてワインボトルにしたわけではないんです(笑)。理由は2つあって、一つは品質管理のため。「ロイヤルブルーティー」の魅力は、香りと色と味です。これを保つ時に避けたいのが、光、温度、空気で、その影響を受けない材質を考えた時、自ずとガラスの遮光瓶がいいと。お茶もワインと同様、製造段階からお客様のお口に入るまで一定レベルの品質を保つためにはワインボトルが最適なんです。
    もう一つは、文化です。お茶もテロワール(土地の性質)ですから、日本の土地があるからこの茶葉が生まれます。そうした文化的価値を伝えるにはどうしたらいいかと考えた時、ワインボトルが一番いい形だと思いました。これを見れば、ワインと同じようにお茶が文化として成り立っている飲み物ということが一目でわかるからです。 お茶の歴史を辿ると、時代と共に、いれ方、飲み方が変わっています。ボトルティは見た目もスマートですし、今の時代に合っているスタイルだと思っています。
  • (S)高級茶「ロイヤルブルーティー」を作ろうと思ったきっかけは?
    (吉本さん)まず、私自身お酒が苦手だったこともあり、お酒のある席では心から寛ぐことができなかったんです。そんな折、偶然友人に連れて行ってもらったティーサロン(※1)でとても感動した出来事がありました。会席コースのお料理に合わせて、食前、食中、食後と5種類くらいのお茶が出てきたのです。お料理とお茶のペアリングという初めての体験に感激し「これを世に広めたい!」と思いました。同時に、心からリラックスできる「レスト」というものを体験し、お酒を飲まれる方の飲食の楽しみ・喜びという感覚を初めて知りました。 レストランに行くと必ず最初に「お飲み物は?」と聞かれますよね。ある時、お酒が苦手な友人たちとの会話から「ノンアルコールの飲み物がつまらない」と感じている方がとても多いことを知りました。よく「このお料理にこのお酒は最高の組み合わせだね」などと言われますが、お酒を飲まない人にはそれがわからないんです。ノンアルコールドリンクはそもそも料理とのコンビネーションを目的として作られていないということに気付きました。

    ※1・・・現在の共同経営者である佐藤節男氏が主宰していたティースクール「茶聞香(ちゃもんこう)」。

  • (S)お茶の本質を知ってほしい

    (S)なぜこれほど高額なお茶を作ったのですか?
    (吉本さん)この業界に入った時、ペットボトルのお茶がこんなに世に普及しているんだから日本茶農家さんはさぞ潤っているに違いないと思っていました。ところが逆で、見えてきたのはお茶業界は斜陽産業という現実でした。きちんと作っている農家さんが、廃業危機に追い込まれていることに衝撃を受けました。安価で効率のいい機械摘みに押され、コストがかかる手摘みのお茶が売れなくなっている。それで、お茶の本質が正しく世に伝わっていないことに気付かされました。本質が味わえる高級茶を作る技術を伝承しないと、これまでの日本の茶の湯の文化が根底からなくなってしまいます。そういう思いがあり、価格も含めた本物の価値を知ってもらうべくこのお茶を作り出しました。
  • (S)「ロイヤルブルーティー」のこだわりを教えてください。
    (吉本さん)まず原材料の茶葉は手摘み茶葉しか使用しません。手摘みというのは、お茶の世界では高級茶の証です。手摘みは茶葉の芯から丁寧に摘みますが、機械摘みは葉や茎の断面を切ってしまいますから、鮮度の差は歴然です。特に2万円クラスの日本茶の場合は、徹底的に管理した茶畑の新芽だけを使用します。これは年に20?30kgしか取れない希少な茶葉です。そして抽出はすべて水出しです。茶葉を3?6日間生水に浸けてじっくりと抽出します。ボトリングについては、添加物を一切加えず加熱をしません。通常ボトルの場合は、殺菌のため加熱するのが基本です。でも私たちはお茶本来の繊細な味わいや風味を活かすために、加熱の工程を使わず除菌するという技術を開発しました。これらの工程はすべて人の手で行っています。3?4名体制で、作れるのは一人一日50本くらい。ですから年に3,000?4,000本しか作れません。時間と手間をかけて作る最高の贅沢茶です。
  • (S)魅力が一番わかる飲み方を教えてください。
    (吉本さん)ワイングラスで、ワインを味わうような感覚で召し上がってください。温度は常温より若干低めの17?18度がいいですが、常温になりかけが一番ベストです。時間がたつにつれてお茶の表情が変わっていき、グラスの中でだんだんと香りが華やいでくるのを感じると思います。お茶の種類によって味わいも香りも違いますから、前菜にはこれ、魚介や出汁のきいたお料理にはこれ、お肉料理にはこれ、というようにワイン同様の楽しみ方ができます。
    値段が高いほど美味しいかと言われたら、好みはあると思います。30万円クラスになりますと、お茶というよりも清水のような澄みきった上品な味わいですね。
  • 世界が認める日本茶ブランドに

    (S)「ロイヤルブルーティー」は現在どういうシーンで利用されているのですか?
    (吉本さん)飲食サービスでは、ホテルレストランを始めとする高級レストランや飛行機のファーストクラスで、ワイン、シャンパンに並ぶ高級ノンアルコールとして提供させていただいています。ファーストクラスに関しては、驚かれるかもしれませんが、「ロイヤルブルーティー」を選ばれるお客様の7割が普段お酒を召し上がる方です。
    誕生日や記念日などの贈答用として、「あの方にはこれを」とわざわざ選ばれる方も多いです。商品の宣伝活動は一切行っていませんが、一度飲まれて感激された方がブログやSNSで広めてくださることでお客様が広がりました。レストランや飛行機で味わって感動し、日本に買いにいらっしゃる外国のお客様も増えています。
  • (S)今後の展望を教えてください。
    (吉本さん)近年、世の中が高品質なものを認める風潮に変わってきたと思います。値段が高くても、本物を求める方が多くなってきました。私たちの最大の使命は、日本を高級茶の一大産地にすることです。高級レストランやファーストクラスでのご提供によって、世界中の方々に日本茶の本当の美味しさを味わっていただき「高級茶といえば日本」ということを印象付けたいのです。それができたら日本のお茶業界も変わると思います。
    (取材を終えて)
    ワイングラスに注がれた「ロイヤルブルーティー」。その優雅な佇まいは、ワイン、シャンパンにも見劣りしない存在感を放ちます。「『ロイヤルブルーティーを飲みに日本に来た』と言われるような、世界に通用する飲み物にしていきたい」という吉本社長の言葉が、スッと心に入ってきました。日本茶の価値観を変える大きな第一歩が、この高級日本茶「ロイヤルブルーティー」なのです。
    取材・文 鈴木ハルカ  
    写真 中根佑子 
    撮影協力 レストラン モナリザ 丸の内店